抹茶な風に誘われて。
「まあさすがにそれは言いすぎとしても……もったいないよね。静先生と一緒に来たかったなーなんて思うでしょ?」

 本音を言い当てられて、ますます赤くなる私。

 二人にはお見通しだったようで、にんまり笑った優月ちゃんがベッドに座った。

「何があったか詳しくは聞かないけどさ、ちゃんと仲直りしなよ? 大丈夫、恋人同士には言葉なんて必要ないんだって! 触れ合う肌と肌の温もりだけで――なーんちゃって、えへへ」

「コラ優月! またそういう話―!」

 咲ちゃんと優月ちゃんの追いかけっこが始まっても、私は赤くなった頬とドキドキを抑えることができなかった。

 でも――やっぱり。

 今一番会いたいと思える人が誰なのか。

 そしてその暖かくて力強い腕の中に包まれたいと自分が感じていることも、心の奥で感じていた。

 出発前にちゃんと話はしたつもりだけれど、どことなくぎこちなさが残っていたから。

 窓から見える海と緑の木立を眺めていた私は、ふと辺りが騒がしいのに気づいた。

 周囲のコテージから女の子たち――同じ藤棚高校の二年生と、他の旅行客も混じっている――が飛び出していくのが見える。

「ねえ、あれ――」

 咲ちゃんたちに伝えようとした瞬間、コテージの扉が開き、夕焼けの光と共に他の班の子たちが駆け込んできたのだ。

「ねえねえ、撮影だって! ホン様と、チョンドンゴンも一緒だってー! 早く見に行ったほうがいいよっ!!」

「急に決まったらしくって、先生たちも大騒ぎだってさ! キャンプファイヤー中止にして撮影見学してもいいらしいよ!」

 突然の知らせに優月ちゃんが顔を輝かせる。

 既に両手を胸の前で組んで、夢見るようなうっとりした目つきをしていた。
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