抹茶な風に誘われて。
Ep.10 決意
真っ向から聞いてしまうなんて、思いもしなかった。
恋なんて、自分にはまだまだ遠いものだと思っていたのに。
あの人のことをもっと知りたいから、会いたいから――そう感じた気持ちを告げずにはいられなかった。
馬鹿な私、彼のことなんて何にも知らないっていうのに。
『恋したらいけませんか?』
そう訊ねた私に静さんは笑った――口元だけの、曖昧な微笑み。
店の奥さんたちが心配するぞ、そろそろ帰ったほうがいいんじゃないのか。もう、ここには来ないほうがいい――。
そんなことを言われたような気がする。
正確に覚えていないのは、自分の言葉に自分で驚いていたからで、更に笑われてしまったことがショックで、何も考えられなくなっていたからだ。
年下の、そう、あの人からしたらきっと単なる子供でしかない私がおかしなことを言う。
そんな風に思われたのかもしれない。
楽しかったはずのお茶会も、静さんと少し近づけたと思った私の気持ちも、何もかもが私の勘違いで、空回りしていただけだった。
帰り道、送ってくれた亀元さんたちが逆に謝ってくれて、本当は静さんの招待なんてなかったことも知った。
だから、自分が馬鹿みたいで、恥ずかしくて――逃げるように一人で帰った。
香織さんの忠告だけが耳に残る。
『あの男に本気で近づくなら、覚悟したほうがいいかもよ。陳腐な言葉だけど、火傷したくなければこのまま忘れることね』
タバコの煙と共に吐き出された言葉は、頭の中でずっとぐるぐる回っていた。
恋なんて、自分にはまだまだ遠いものだと思っていたのに。
あの人のことをもっと知りたいから、会いたいから――そう感じた気持ちを告げずにはいられなかった。
馬鹿な私、彼のことなんて何にも知らないっていうのに。
『恋したらいけませんか?』
そう訊ねた私に静さんは笑った――口元だけの、曖昧な微笑み。
店の奥さんたちが心配するぞ、そろそろ帰ったほうがいいんじゃないのか。もう、ここには来ないほうがいい――。
そんなことを言われたような気がする。
正確に覚えていないのは、自分の言葉に自分で驚いていたからで、更に笑われてしまったことがショックで、何も考えられなくなっていたからだ。
年下の、そう、あの人からしたらきっと単なる子供でしかない私がおかしなことを言う。
そんな風に思われたのかもしれない。
楽しかったはずのお茶会も、静さんと少し近づけたと思った私の気持ちも、何もかもが私の勘違いで、空回りしていただけだった。
帰り道、送ってくれた亀元さんたちが逆に謝ってくれて、本当は静さんの招待なんてなかったことも知った。
だから、自分が馬鹿みたいで、恥ずかしくて――逃げるように一人で帰った。
香織さんの忠告だけが耳に残る。
『あの男に本気で近づくなら、覚悟したほうがいいかもよ。陳腐な言葉だけど、火傷したくなければこのまま忘れることね』
タバコの煙と共に吐き出された言葉は、頭の中でずっとぐるぐる回っていた。