抹茶な風に誘われて。

Ep.11 始動

 その瞬間、俺の中でもやもやしていた何かが消えた。

 年齢がどうとか、仕事がどうとか、勝手に気にしていたのは俺だった。

 いつもそんなものに縛られてしか相手を判断できない奴らを嫌っていたのは、他でもない自分のくせに――。

 できる限り不必要な敬語や低姿勢を避け、常に対等であること。

 立場や年齢などではなく、お互いを尊敬しあえる何かを持っていること。

 自分の中で決めていた人付き合いのルールを、自分で忘れていたのだ。

 年齢差だとか、立場の違いだとか、そんなことに縛られて見逃すところだった。

 九条かをるという名の少女が、対等に付き合える人間だということを。
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