下宿屋まろん
「僕」と下宿屋まろん




僕が「まろん」に来たのは他でもない。父と母が僕を持て余したからだ。

中学2年になった僕は、学校にほとんど行かなくなった。

きっかけはなんだったかはうまく説明できない。

ただ、中学デビューした友達が、イキがりながら給食を食べる姿に酷く嫌気がさしたのだ。

くだらない、くだらない。なんてくだらないんだろう。

僕の足はだんだんと学校から遠ざかり、梅雨明けにはほとんど家から出なくなった。


父と母は初めての事に困惑していた。

高校生の兄は、「まあ、いいんじゃない」とニヤニヤしながら傍観していた。

反抗期、というほど親を疎ましく思っていたわけじゃないので、家の中では普通に生活していた。

朝ごはんを食べ、部屋に篭り、兄が図書館から借りてくれた本をひたすら読んだ。

昼ご飯は母親が用意してくれたものを食べ、片付けも済ませて、また部屋に篭る。そんなふうに過ごしていた。

母はイジメを心配したが、顔の広い兄の庇護のおかげで、僕は特にイジメのターゲットにならずにすんでいる。

理由などないのだ、本当に。

ただ学校に興味がない、そういうと、母はさらに困った顔を見せた。
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