下宿屋まろん



母の事を姉さんと呼んでいたけれど、女の人と母は、直接の兄弟ではなく、母の従姉妹の子どもがこの女の人なのだという。

「どうかしら、トヨコさん」

母は尋ねた。

「この子にその気があれば、ね」

トヨコさんと呼ばれた女の人は答え、僕に向き直った。

「ねえ、」

肩にかかった髪が揺れた。

「私のとこに来る?」
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