君の言葉を胸に
紗菜を追いかけるたび、シャンプーのいい匂いがした。
やっぱ女なんだなぁ。
…いや、今はそんなこと考えてる場合じゃない。
「待てええ!」
「いやああああ」
ちょ、叫ぶのだけはやめてっ。
おっさんが女子高生追いかけてんの誰かに見られたら…
「……なにやってんの、恵介…」
み、見られた……。
「え、誰?」
紗菜は止まってくれたものの、俺も動けない。
「……恵介、お姉ちゃんガッカリだよ」
「いや、違っ…!」
「……お姉ちゃんん!?」
俺の声は、紗菜の声によってかき消された。
そう、この状況を見たのは姉の明だ。