君の言葉を胸に





紗菜を追いかけるたび、シャンプーのいい匂いがした。


やっぱ女なんだなぁ。


…いや、今はそんなこと考えてる場合じゃない。


「待てええ!」


「いやああああ」


ちょ、叫ぶのだけはやめてっ。


おっさんが女子高生追いかけてんの誰かに見られたら…


「……なにやってんの、恵介…」


み、見られた……。


「え、誰?」


紗菜は止まってくれたものの、俺も動けない。


「……恵介、お姉ちゃんガッカリだよ」


「いや、違っ…!」


「……お姉ちゃんん!?」


俺の声は、紗菜の声によってかき消された。


そう、この状況を見たのは姉の明だ。





< 123 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop