君の言葉を胸に





少し泣きそうになる。


そんな俺の頭を、明が撫でた。


この年になって姉に頭を撫でられるのは、恥ずかしい。


でも、安心した。


「後は、原和田くんに聞いてよ。…私より、詳しいはずだから」


明は優しく微笑んだ。


俺の目からは涙が落ちる。


なぜか無性に悲しかったんだ。


その涙によって、明の奥にいる紗菜の顔は見えなかった。


紗菜。


お前は今、どんな顔をしているのだろうか――





< 126 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop