君の言葉を胸に





屋上に着いても無言。


何で話しかけられたんだろうか。


何で俺は、松山さんを屋上に誘ったのだろうか。


…訳が分からない。


「……空、綺麗だね」


ふいに彼女が呟く。


おいおい、目がおかしくなったのか?


今日の空は確かに青い。


青いが、雲で太陽が見えないじゃないか。


「……こっちからの方が綺麗に見える」


手招きをして、反対側に向かう。


松山さんは、少し小走りでついてくる。


「わっ……!」


松山さんは何もないとこで躓く。


俺はとっさに松山さんを支える。


「……大丈夫か?」


「う、うんっ」


彼女はいつもみたいに、顔を赤くする。


「ハハ…。危なっかしいな」


「……!」


この時、なんで笑ったのかは分からない。


ただ、松山さんを……いや、何でもない。





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