君の言葉を胸に
こちら側からだと、さっきの位置からとは違う風景が見える。
「すごい、綺麗…」
「………な」
こちら側は、雲はかかっているが雲から少しだけ太陽が顔を出している。
そんなとき、近くでフェンスの音がした。
あたりを見回すと、ニヤニヤしている原和田がいた。
「……なんでいんの?」
「いいねぇ。色気づいた兄ちゃんは」
「………松山さん、そろそろ戻ろうか」
「う、うんっ」
「わぁ~。ちょ、無視ですかぁ?」
俺は松山さんの手を引いて屋上を出る。