君の言葉を胸に
紗菜を起こそうとする。
しかし、離れない。
「……紗菜?」
「…恵介、ドキドキしてるね」
………は?
「ここ、よく聞こえる」
そう言ってこいつは、やっと顔をあげた。
こいつ、離れないと思ったら…
俺の胸に耳をあててたのか。
「そりゃドキドキするでしょ。生きてんだから」
「………それだけ?」
悲しそうな顔をしながら、また俺に抱きつく。
「……そりゃドキドキするでしょ。彼女と一緒なんだから」
「……ふふっ」
こいつ、言わせたな。
まあ、嬉しそうだからいっか。