君の言葉を胸に
外へ出ると、原和田がいた。
俺は、涙を拭った。
「……泣けよ」
原和田がそんな声が聞こえた。
「泣けばいい。辛いんだろ?苦しいんだろ?そんなときは、泣けばいいんだ」
その言葉で、また涙が出てきた。
病院の中で、松山さんが亡くなったと聞いて泣いてる友達が何人もいた。
でも、笑ってる奴もいて、俺は許せなかった。
「……松山さん、幸せだよな」
原和田が口を開く。
声、震えてる…?
「松山さんが生まれたとき、松山さんは泣いていて、周りの皆は笑ってたんだ。
でも、松山さんが亡くなったとき、周りの皆は泣いてるんだ。
立派な人って、ことだよな…。
家族、恋人、友人から泣いてもらえるなんて、幸せ者だよ…」
原和田、やめてくれ。
今の俺には、どんな言葉も入ってこない。
前はあんなに、胸に響いた言葉さえも。
でもいつか、この涙を拭って笑えるように、俺の側にいてください。