君の言葉を胸に
彼は上を見上げる。
上には、雲一つない綺麗な空がある。
「君、授業中は下向いてるし、休み時間はすぐどっか行っちゃうから、顔見たことなかったんだよ」
教室に居たくなかった。
それだけだ。
「だからさ、今こうやって話せてるのが嬉しいんだよ、俺は」
彼は一杯の笑顔を俺に向ける。
俺も空を見上げる。
「あ、雲…」
いつの間にか、青空には雲がかかっていた。
「俺はポラリス。北極星さ。君が見えるとこに、いつでもいる」
「……いつでも、ねぇ」
「なんだよ、嘘だと思ってるだろ」
「当たり前」
「ひどい奴。ま、逆に言えば俺がずっと君を見てるよ」
「ずっと?」
「うん、ずっと」
「…はは、気持ち悪ぃ」
「ようやく笑ったな」
「………変なやつ」
彼は、俗に言う変なイケメンだろう。
俺は今日、変なイケメンに出会った。