君の言葉を胸に
俺も席を立ち、女の子の隣に行く。
「悪かったよ」
そう言いながら女の子の頭にポンっと手をのせた。
女の子は下を向いていた。
髪の毛で顔が見えないが、耳は見えた。
真っ赤だ。
………照れた?
この光景、昔、どこかで見たことがある…。
俺が笑ったり、手を繋いだりすると、照れて女の子は下を向く。
この女の子は…高校生のとき知り合って、どうしても名前が思い出せなかった子…。
「松山さん…?」
「………!!」
原和田と多田さんが立ち上がった。
「ど、どうした」
ヤスが少し焦り気味で言う。
「野村…。お前、松山ちゃんを知ってるのか?」
「……別に」