君の言葉を胸に





原和田は机を叩いた。


「別に、ってなんだよ!答えろよ!」


なぜか原和田は怒っていた。


「………分からないよ。この子見てたら、名前が浮かんできた」


そう言って、隣の女の子を指差す。


「やめなよ原和田。確かに紗菜は松山さんに似てるんだから」


隣の女の子は紗菜というらしい。


「松山って誰だよ?松山千春?」


くだらないギャグを言ったヤスに、原和田が冷たい視線を送った。


ヤスはやめろよな~、と言いながら椅子に座る。


「ねえ」


俺が話すと、皆はいっせいにこっちを見る。


「…松山って、誰?」


変だよな。


俺が言い出したのに分からないなんて。


………変だよな。





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