君の言葉を胸に
「………」
俺は引き返した。
いや、正確にいうと引き返そうとした。
「ちょちょちょちょ!?待ってよ!」
「……幻覚見た上に幻聴が聞こえる」
「え、ちょ、想像上の人物にしないで」
「はあ…寝不足か」
「お願い戻ってー!」
…………で。
「腹壊した人が何でここにいるんですかー」
「腹なんて壊してませんー。そっちこそ、なんで私の家知ってるんですかー。ストーカーですかー」
なわけないだろ。
「原和田に連れられて来たんですー」
「………で、その原和田くんは?」
外へ出ると、原和田はいなかった。
なるほど、そうか。
そうだったのか。
はっはーん、原和田め、ムカつく奴だぜ。
こうなるように仕組みやがったな、あいつ…!