君の言葉を胸に
「はあーあ」
変なため息を一つ。
紗菜が、なにそれ、と笑う。
「ってか、腹壊したって何?何のこと?」
俺の周りをうろうろする紗菜は、子猫のように見えた。
………小さいし。
「………2週間前のケーキ食って腹壊したって聞いた」
まあ、嘘だったんだけど、と言葉を続けようとすると、
「あっはは。それは去年の話だよ~」
と、紗菜は笑って言った。
「………」
「……え、ちょ、何この雰囲気…」
「………」
「え、野村?ねぇ、ちょ…野村?少し喋ってよ」
「………」
「うわ。冷めた目してやがる」
「すいませんね、元からこういう目なんですー」
「あー、そうですかー」