君の言葉を胸に
ケーキも食べ終わり、俺はその場に寝っ転がる。
そんな俺を、紗菜はなぜか顔を赤くして見てた。
何この子…。
俺は両手を広げた。
「……くる?」
冗談だった。
「…うん。いく…」
まさか、そう言われるとは思わなかった。
彼女は胸に飛び込んできた。
え、ちょ…どうすんの、これ。
俺は紗菜の背中に手を置いた。
すると紗菜は、俺に手を回した。
……抱きつかれた。
「野村ぁ…」
か細い声が聞こえる。
「どうした?」
「…ありがと。来てくれて」
「……うん」
なんとなく、この空間が心地よかった。