君の言葉を胸に
ドク ドク ドク ドク
どっちのか分からないぐらい、はやい心臓の音。
俺のかもしれない。
彼女のかもしれない。
あるいは、二人の。
紗菜は手を床につく。
押し倒されたような形になった。
目が合う。
紗菜の顔は赤くて、目はとろけそうだった。
可愛い。
素直にそう思った。
俺の顔も、赤いのだろうか。
顔が熱い。
この感覚、懐かしいと思った。
「………野村」
紗菜の顔が近づいてきた。
唇が触れる。
彼女にも聞こえてしまいそうなぐらい、心臓の音は大きく高鳴る。
離れて、また目が合う。
「………スキ」
彼女はもう一度、俺の唇に触れた。