「愛してる」、その続きを君に
「ずっとおまえが好きだった」
聞きたかった彼のその言葉。
そして今まで味わったことのない、この胸の痛み。
息がつまるほどの胸の重みなのに、どこか甘くてじんわりと温かさが広がっていく。
「これで満足か」
「…うん」
「行こうな、美星町」
「うん」
信太郎の親指が彼女の唇の位置を確認するように、そっと触れる。
夏海は目を閉じた。
ここは目を閉じるものだ、なんとなくそう思った。
瞳を閉じてすぐに、柔らかく暖かな感触が唇を覆った。
トクントクンと次第に早くなる鼓動に、彼女は思わず胸に手をやる。
彼の唇が夏海の唇を、その心をどこまでも優しく包み込んだ。
そう、これが待ち望んでいた、キス。
思い描いていたキス。
好きな人との…そう信太郎との…
一生忘れられない今夜の口づけ。
信ちゃん…
必ず連れてって。
降るような星空の下へ。
そこでこうやってまたキスをして。
きっと満点の星立ちが私たちを祝福してくれる。
夏海はそう願いながら、身体中に駆けめぐる喜びに胸をふるわせた。