天神劇場


森の中をずんずん歩く赤ずきん。

お母さんの注意など既に忘れてしまったかのようです。


「りゅ……お婆さんに会うのは久し振りだわ。そうだ、お花を摘んでいきましょう」


赤ずきんはそう呟くと、道の脇に生えている雑草……ぷぷっ。花を摘み、再びお婆さんの家を目指します。


「(あ、果物忘れた……)」


案外ドジッ子な赤ずきん。

バイオリンケースしか持っていないことに気付きました。


「(まあ、いいか…)」


気にせず赤ずきんは進みます。


「お、あれは赤ずきんじゃねぇか」


そんな赤ずきんを木の影から見詰める犬耳付けた変態…ぷぷっ。

狼です。

あひゃひゃっ!耳と尻尾っ!ひゃっ!


「うるせぇえええ!」


くぷぷぷぷ。

狼さんは短気なようです。

でも着ているロゴTには『猫耳なんかに負けない』なんて。ぷぷっ。


「だからうるせぇよ!次行け、次っ!」


わ、わかりました!

えっと……あれ、次の台詞狼ですよ?


「ああ゛ん?……お、美味しそうな赤ずきんだ…そうだお婆さんに成り済まして、た、食べてやろう」


何を照れてるんですか?


「っ、別に何でもねぇよ!俺はバカの所に行きゃあいんだろっ!?」


ええ、…ぷっ。


「笑うなぁああああ!」

「ちょっと……早くしないと私、龍太郎の所に着いちゃうわよ?」


あっ、本当ですよ。さあさあ、狼さん早くお婆さんの所へ行って下さいっ。


「……ああ」




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