箱庭ラビリンス
私はいつも誰かに支えられているんだ。自分の足で歩く事はおろか、立ててすら居ない。
拒絶するくせに誰かが居ないと駄目で、怖くて。けれどいつまでもそう言う訳にはいかないんだ。
怖いなら元凶を取り除くための行動を起こさないといけない。無い道はない。道はきっと何処かにある。
大丈夫。大丈夫。
言い聞かせて聴こえるのはナナギくんが弾いてくれた名も知らない曲で、でも今は彼……桐谷くんの姿が朧気にしか覚えていないナナギくんの姿と入れ替わる。
それが支えだった。
大丈夫。大丈夫。きっと大丈夫。
もう一度言い聞かせ、繋がる音に口を開いた。
「もしもし?……菜穂姉?」
きっと、戦える。