箱庭ラビリンス


マグカップを手にして椅子に座って数分。


手からの温もりと内からの温もりを感じながらも揺らぐ湯気をボケッと見ていたのだが。


「――……」


やはり今日は変だ。いつもより瞼が重い。音楽室での感じと同じで、ふわふわしていた。


「未来ちゃん?眠い?」


そんな私に気付いたのか、コップを置いて顔を覗き込んでくる。菜穂姉の姿も焦点を合わせるのが少々難しかった。


「ん……む」


けれど、そのままにコクリと頷く。


眠い。そうだ。とても眠いんだ。


今、ベッドに倒れ込めたなら気持ちいいだろうな。なんて事を感じる程。




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