箱庭ラビリンス


音が消失した廊下は、外からの部活をする音だけが聞こえてきて少し寂しい。


そんな事を感じながらドア前に座り、床を見つめていた。


――カサッ。


返事だ。と、紙を開く。


『断られると思ったからちょっと意外だった』


下手な字を彼の下に書いて申し訳なくなるも筆談は始まる。


一文字一文字丁寧に書くように心がけるも、下手なのは変わりなかった。


『私は君に言われた事の方が意外だった』


『それもそうか。一言も話た事なかったからね。どうして聴きに来てくれるの?』


文章を読んで、ピタリ。とペンが止まった。


どうして?


『何となくじゃ駄目か?』


「……」


紙を隙間に通し、思いを巡らせる。


――それは偶然だった。



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