箱庭ラビリンス


ポンポン。と二回、頭に触れられる。それも気持ちいい。


「ずっと寝てなかったんでしょ?寝れるときに寝た方がいいわよ」


そう言い、私からマグカップを奪い去った。


眠いなんていつぶりだろう……。


空になった手を力なく下すが、反射的に手をまた上げた。伸ばした。その人に。


「これ片付けたら私も帰るから、後の事は気にしなくても……どうしたの?」


立ち上がり、私の後ろにあるキッチンに向かおうとしたのを止めたが為に不思議そうな目を向けられるのは当然。


訳もなく止めたわけではない。それが訳になるなんて思わないけれど。


「今日だけ……」


菜穂姉の服の裾を手の内に押し込めた。




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