箱庭ラビリンス
恥ずかしいとか恥ずかしくないとかそんな事はもうどうでも良かった。意志だけを伝える。伝え直す。
「――……今日だけ、寝るまで家に居てほしい」
子供過ぎて呆れるかもしれない。小さい子じゃないのにと思われたかもしれない。
それは今日だけだ。今日だけ。目を覚ましたら今日の私は消してしまおう。
「もっと、強くなるから。だから、今日だけ」
願いを込めて、決意を込めて。
「よしよし。今日だけだからね」
クスクスと笑いながら頭をポンポンと撫でるように叩く。
「本当は桐谷少年の役割なんだろうけどね」
違うよ。役割なんてないんだよ。きっと、彼の傍も菜穂姉の近くも、私が眠りにつける場所なんだ。だから。
「おやすみなさい」