箱庭ラビリンス
その日は、深く眠りについた。
夢も見ない程、何も感じない程、朝日を浴びるまで目を覚まさない程。
こんな風にスッキリする朝は久しぶりで、思わず笑ってしまった。単純な私に、鏡に映る私が違って見えた事に。
そうやって、また今日が始まる。朝食べて、家を出て、学校に向かって。
彼に出会って。
「お、おはよう……」
「うん。おはよ」
彼は笑って。私は何故か照れくさくて。
日々が廻る。同じで、違う感覚が巡る。
気づきたい何かがあったけれど、今はまだ気づかないように彼の傍でただピアノの音を聴いていた。