箱庭ラビリンス
彼のおかげでシャワー室にたどり着き、苦労して髪についた絵の具を落とした。
そして今、何故か彼女が用意し、貸してくれた体操服に身を包み、洗い終わるのを待っていた。
「本当にごめんなさい!もう少しで洗い終わるので」
一生懸命に洗ってくれる姿を見ると逆に此方が悪い気がしてしまう。
それでも、制止したり謝ったりするのは無粋な気がしたので、大人しく待っていた。
風が髪を攫うと同時。
「あ!名前何て言うんです?」
「望月……未来」
髪を抑えつつ答えれば、彼女は一度動きを止める。
そして、洗い場から此方に顔を覗かせた。