箱庭ラビリンス


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何とでも言えただろう。


人が嫌いだ。一対一で近寄られるのに嫌悪を覚える。怖かった。


そう、何とでも言えただろう。


それでも『言えない』と答えたのは、こんな私と話してくれる彼に失礼に感じてしまったから。


「……なにが」


今更、また人と関わろうと思っているのか?それでもいいのか?


――……いいんだ。あれは過去の事で、今がどうこうの話じゃない。そう……


「!!」


不意な衝撃によろめき体に震えが走る。


「あ、すいません」


『未来』


共にやってくる醜悪なフラッシュバックにまた一層ガタガタと震える。もう関係無い筈なのに。


「ぅ、ぁ……っ~~!」


息が苦しくて苦しくて、死んでしまいそうになる。


過去。過去なんだ。もう済んだ。終わった。消えた。何もない。何も。


どれだけ言葉で消そうとしても消えない。


駆け込んだ部屋でぶつかった肩を抱いて、宙に…“何か”に手を伸ばした。


掴む手は誰もない――……。




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