箱庭ラビリンス
第二楽章【救う少年】
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朝、鏡に映る酷い顔を眺め、いつも通り用意を進めていく。買い置きしているインスタント食品で朝食を補い、満たされた気持ちもないままに家から出る。同じ事だった。
「……行ってきます」
返ってくるのは冷たく反響する音。
無意識に肩を擦りながら、ゆっくりと歩数を増やしていく。このまま行けば遅刻などとは到底無縁だった。
が、目に映ったのは猫二匹。
まだ大丈夫か。
猫を驚かせないように近づき、屈みこんだ。動物と接している方が幾分も楽だ。
何処かの飼い猫かと思うほど猫は大人しく触らせてくれた。
一匹は私に触られながら、もう一匹は肩にかけていた鞄をガリガリと引っ掻いてくる。
「お腹、空いているのか?」
勿論猫は返事しないけどそう解釈して鞄を開き、お昼のお弁当として持ってきていたパンを出す。
「食べる?」
……猫ってパン食べるものなのか?
千切ってあげてから思うも、支障もなく食べているからよしとした。