箱庭ラビリンス
息を吐いた為かビクッと肩を震わせた彼を横目に見た後、窓の外に目を向ければタイミングを見計らったかのように合う目。
だが、視界から直ぐに消した。
これはもう何日も続く毎日の事だった。
目の主はよく知っている彼でよく知らない彼。
きっと彼は私をクラスの人と同じように『近寄り難い人』としか認識していない。
私も彼をクラスの人が思うようにしか認識していない。
それでもよく知っていると言ったのは彼と言う人物を作るその場所に、無断で近づいているから。
「……はっ」
そこまで考えてから自嘲気味に笑う。
こうやってまた日常が始まり終わっていく。
何も変化なく、色もなく、楽しくもなく。
けれど、一つだけ楽しみな事はあった。