箱庭ラビリンス


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「望月さんごめんね」


開口一番、昨日の女子三名に謝られる事態に遭遇した。


どいつもこいつも体裁ばかりで腹が立つ。その飾られた化粧の奥は悪いと思っていないんだろう?


私はフンッと鼻を鳴らして彼女達と正反対の方向を向いた。


すると聞こえる舌打ち。


「何でこんな愛想もない子を桐谷くんは気に掛けるのかなぁ?」


「あは。ちょっと言い過ぎ」


「でも正論ーー」


ほら、悪いなんて微塵にも思ってない。『いい子』でも演じたかったのだろう。


私は無視に徹しようと思った。思ったが出来なかった。


「自分が可愛いとでも思ってるわけ?」


何、それ?




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