箱庭ラビリンス
もう抵抗する力は残っていなく、ズルズルと崩れ落ちる。彼も私を抱き締めたまま一緒に落ちる。
顔も上げれず、彼の胸に頭を預けた。
「女の子として見られるのは怖い……でも、私は、本当は、皆のように可愛くありたい」
呪文のように矛盾を孕んだ言葉を呟きながら、彼の制服を握り締める。
彼はやはり不思議な人で、いつの間にか怖いなんて感情は無くなっていた。感情が緩くもなる。
「ずっとずっと……変わりたかった」
やっぱり私は動けずに蹲ったままで、進めなくて、でも……
「うん――君なら変われるよ。きっと」
彼が優しく言ってくれるから、少しずつ歩き出すんだ。
「っ~~!」
また、涙が溢れる。
それから、私は人目も憚らず、わんわんと泣きわめくように泣いた。