箱庭ラビリンス


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「落ち着いた?」


問い掛けにコクリと頷く。あの後、私が激しく暴れるかの如く叫んでいた為か、誰かが教師を呼んだらしく駆け付けてきた。


よく分からないが、彼が適当な理由をつけて誤魔化してくれたらしく、“保健室に行く”と言う名目で音楽室に来ていた。


「まさか、髪が長いなんて思ってもみなかった」


一応ながら櫛と言うのはポケットに入れていた為、絡まる髪を一生懸命に鋤いていた。が、後ろの髪はどうにもこうにもやりずらかった。


「良ければやろうか?」


悪戦苦闘をしている私を見るに見かねたのか手を差し出し、申し出てくれる。


私はガッと今やっていた部分をひと鋤きした後、動きを止めた。


「あ……ごめん。ちょっと調子に乗った」


バツが悪そうに手を引っ込める。


「……」


少し考えた後に、私は櫛を彼に差し出した。


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