箱庭ラビリンス
「……っと。もうこんな時間か……。帰ろうか?」
徐に曲を切り上げ片付けを始める。
窓の外を見れば徐々に日は沈み始めていた。
最近は日が落ちるのが早くなって来たのかと思いつつ、鞄を肩に掛ける。
さあ、帰ろうかと思った時、彼は言った。
「望月さん家何処?暗いし送るよ」
その言葉を聞いた瞬間、いいと全力で首を振った。だが……
「そ、じゃあ、勝手に着いていく」
「……」
時として彼は変化球のような返しをしてくる。語彙が少ない私にとって返せる言葉もなく、従うしかないのが現状だった。
最も、合ったところでちゃんと断ったり出来る気もしなかったが。