箱庭ラビリンス
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とある休日の早朝だった。
「やほー!未来ちゃん元気ー?」
「!?」
扉が勢いよく開かれ、現れたのはド派手な格好が目につく女の人。手に鍵を持っている事から合鍵を使ったのだろう。
「……菜穂(なほ)姉?」
まごうことなき私の従姉妹。そして保護者代わり兼カウンセラーの先生。
まだ未成年の私がこうして一人で暮らせるのは彼女の計らいからだった。
幾分も離れている彼女は大人で、とても自由奔放に生きていて時々首締め状態の自分と比べては羨ましくなる。
「ごめんねぇ。今日母さんは仕事でこれないって」
「そうか」
「あれ?未来ちゃんいつもより血色いいね。あと、髪も長くなってる」
血色いいと言われても自分では分からないけれど、見た目の変化を指摘され、少し照れ臭くなって、顔を隠すように俯いた。