箱庭ラビリンス


そして彼女は勝手知ったる者として、勝手にインスタント食品を漁り、食べる気満々に湯を沸かし始めた。


湧くのを待っている間にも彼女はいつものようにやるべき事をやる。


「食生活が変わった訳じゃないのね……んー……睡眠時間、どれくらい?」


聞かれた質問に指折りで考えてから返す。


「前回答えたときより、30分延びてる……かな?」


「おーけーおーけ」


軽く返事を返され、ポケットから手帳を取りだし書き込む。あれには私に関する事が書かれているのだろう。今までもよく見ていた。


「薬は……使用中……と」


テーブルに置いてあった錠剤を見てまた書き込む。


「ふむ。何かあった?最近」


「……あったにはあった……かな?」


「へえ。是非聞きた……あ、沸いた沸いた」


早々に湯が沸けば、菜穂姉の食欲が先陣を切り、話は一度停止したのだった。


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