箱庭ラビリンス


インスタント食品を食べ終わるや否や着替えてこいと言われ、着替えたら今度は出掛けようなどと言われた。


無論、断った。が。


「大丈夫だいじょーぶ!今日行くところ、基本的に女の子ばっかりのショッピング街だから。さあレッツゴー」


等と無理矢理押しきられて今に至る。


「あーこれとか!これもいいんじゃない?」


かれこれ数時間はこうやって服を選んでいる。


キャッキャと騒ぐ彼女を尻目に、チラリと辺りを見渡すと見える限りでは女の人だらけ。


それだけでマシだがやはり警戒はしてしまう。


「……と、そろそろ疲れたよね?休もっか」


「あ、うん」


ハッと意識を戻せば、顔色を伺うように覗き込んでくる菜穂姉。


「あ、ちょっとこの店の入り口で待ってて。その前にトイレ!」


大人の女性が大声でトイレと言うのはどうかと思うが、指摘する前に小走りに走り去ってしまう。


――……彼女は私の事をよく見てくれる人だ。



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