箱庭ラビリンス
「おねーちゃんって、お人形さんみたいだね!」
「え……?」
無邪気に笑い掛けてくる姿に目を丸くする。
お人形?そんな風に見えるのだろうか。ああ、着いた途端に菜穂姉に着替えさせられたワンピースが原因か。
「えへへ」
何が楽しいのか分からないけど、女の子は笑う。
「――……」
だから、少しだけ笑みを返した。
「あ、こら!おねーちゃんに迷惑掛けちゃ駄目でしょ」
「ままぁ!」
「ごめんなさいね。この子が……」
「いえ……」
手を振ってくる女の子にまた小さく微笑み返す。願わくは彼女がいつまでも笑っていて、私のようには……
「やーごめんごめん。未来ちゃん。行こっか」
……悲観的になっても仕方ないのだったな。