箱庭ラビリンス


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彼の温もりを感じた事はあったか。とふと思い出す。不快感を持たれていても仕方がない反応をしてしまっていたが。


菜穂姉が言うのはきっと、触れられるのを受け入れろと言う事なんだろうな……。


「音弥ーー」


「うわっ!?」


「はは!音弥は隙だらけだな」


「誰だって後ろから来られたら反撃出来ないと思うよ」


「俺は出来るな!!」


「絶対無理」


「何だと!?」


何気なしにクラスメイトと会話する彼を見ていた。彼はグシャグシャにされた髪をガシガシと直しながら呆れた顔を浮かべている。


普通はあんな風なのだろうな。普通は……。





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