箱庭ラビリンス


『どうして君はそんなに』


カタッ…と携帯に無意識に打っていたことに気付き止まる。何を聞こうとしてるんだ。


一気にクリアボタンを押して文面を消し、待受画面に戻した。


菜穂姉の言葉を真に受け過ぎなんじゃないのか。本当、どうかしてる。


「望月さん。そっち壁」


「!!」


袖を引かれて気が付けば白塗りの壁が眼前に映る。


意識が飛んでいたのか。全くもって自分が何をしているのか分からない。


「?」


……あ……れ?


変だ。袖を捕まれてもフラッシュバック処か嫌悪すら起きない。


今までは服ですら駄目だったのに。筈なのに。





< 59 / 194 >

この作品をシェア

pagetop