箱庭ラビリンス
『どうして君はそんなに』
カタッ…と携帯に無意識に打っていたことに気付き止まる。何を聞こうとしてるんだ。
一気にクリアボタンを押して文面を消し、待受画面に戻した。
菜穂姉の言葉を真に受け過ぎなんじゃないのか。本当、どうかしてる。
「望月さん。そっち壁」
「!!」
袖を引かれて気が付けば白塗りの壁が眼前に映る。
意識が飛んでいたのか。全くもって自分が何をしているのか分からない。
「?」
……あ……れ?
変だ。袖を捕まれてもフラッシュバック処か嫌悪すら起きない。
今までは服ですら駄目だったのに。筈なのに。