箱庭ラビリンス
夕暮れが包む道を、学校までの道を走る。
すがってはいけないのは理解していた。だけど側に居てほしくて、助けて欲しくて。彼は何度も救ってくれて。
「うっ……ぅ……」
甘えでも、弱くても、今は……今だけは。
着いた先の扉を開き、雪崩れ込むように転んだ。その拍子に手に持っていた食器の袋は勢いよく飛んでいき、次いでガシャンと音を立てた。
「――望月さん?」
きっとそれは他力本願で悪い事だ。一人で立てないと頼ったんだ。何も関係ない彼に。変わるきっかけをくれた彼に。
……馬鹿だ。自分の事なんて話せない。知られたくない。なのに……なのに……っ!
転んだ体勢のまま、腕に目を押し付けて袖を濡らしていくばかり。
愚かでなんて恥ずかしい事だろうか。