箱庭ラビリンス


そんな所にふわり、と何かが頭にふれた。


「――!」


何かに気付くにはそう時間は掛からなかったが、顔を上げるまで時間が掛かった。


グシャグシャであろう顔を、力なく上げれば変わらない彼の姿。それにどれ程安心しただろうか。


「立って。そこに座って」


突然飛び込んできて、訳も分からず泣く私を怒りもせずに促す。


触れたのは一瞬だけで後は一定の距離が保たれた。


何て言っていいのか、優しいと言うだけじゃないのは確か。


「ご、ごめっ……なさ……「泣き止んだらでいいから。どれだけでも待つから」」


「ふっ……ぇ……」


短絡に言えば後悔した。


なのに、嬉しかった。向き合ってくれる事、待ってくれる事。


何度も何度も嗚咽を漏らし、深い呼吸を繰り返しながら、何度も何度もごめんを呟いた。




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