箱庭ラビリンス


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「っはぁ……はっ……」


無我夢中で走り終わった後、気が付けば家の玄関に立っていて、横に目をやれば鏡に映る荒々しく息をした私がいた。


黒い髪は女の子としては短く、男としては長い中途半端な長さで、身長は普通より小さく、化粧などしていない顔。


全部が全部、着ている制服ではとても不釣り合いに見えた。それにプラスしてボロボロで何故か笑いも溢れてくる。


「はっ……。何がしたいんだ?私は?」


鏡に問いかけた所で答えはない。答えはない。


鏡でなくとも仮に人に問いかけたところで、自分が分からない問いに人が明確な答えを教えてくれるわけがない。


自分で立って、答えを探さないといけない。


錘がいつまでも消えなくとも。


一度俯いた後、また顔を上げて暗い部屋へと足を進めた。



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