箱庭ラビリンス
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退屈な毎日は今日も繰り返す。
足が止まったのは音楽室と書かれた場所。
結局ここに来てしまうのはきっと居場所を求めているからだろう。私が居たいと思える場所を求めている、
それは、現時点では此処だった。
昨日の事を警戒していつもより離れた場所、曲がり角の所に立つが音が小さいという感覚はない。
見れば扉が開いていて、だからこそいつもより音が鮮明に聴こえてくる。
「……?」
ふと、扉の所に紙のような物が落ちている事に気が付いた。
少々戸惑いながらも紙から限りなく遠ざかり手にする。どうやら二つ折りにされていたそれを開いてみれば整った文字が並べられていた。
『ごめん 桐谷音弥』
「きりたに、おとや」
無意識のうちに彼の名を呟いたが、彼の音によって掻き消されてしまった。
まだ、音は止まない。