光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「まずは、東條学園の入試方法のことから説明するわ。
東條学園の入試は筆記試験、面接試験、実技試験の3つが合わさった試験なの。
筆記試験は音楽史などの知識を問うもので、面接試験は意欲とコミュニケーション力を図るもの。
実技試験では実際に試験官の前で楽器を演奏し、高い能力が求められるわ。
ただ……実技試験が毎年本当に厳しくて、不合格者は大抵この試験で落ちるようなものなのよ」
説明する鈴木先生の表情には、さらに影が射していく。
そんなに、厳しいなんて…。
ずっと難しいと聞いてきた入試だけど、改めてその厳しさを説明されると怖じ気づきそうになる。
だけどぐっと堪えて、先生の言葉の続きを聞いた。
「……それでね、その入試方法で変わった部分っていうのが実技試験なの。
今までは課題曲と自由曲を、試験当日に演奏するっていうものだった。
だけど今度はそれに加えて……自分で作曲したものを演奏しなくてはいけないみたい」
――自分で作曲したもの…。
「自分で……作曲したものですか?」
変更箇所が予想外でいまいち受け入れられなくて、確認するために先生に聞き返す。
すると先生は間違いないと言うように、しっかりと頷いた。