光を背負う、僕ら。―第2楽章―
心のスイッチ
――学校の図書室。
音楽史に関する本を受験勉強の参考にしようと思い、授業の合間のわずかな時間を利用してここに探しに来ていた。
図書室って静かだな…。
本の貸し出し業務を行う図書委員の人はサボっているのか休んでいるのか分からないけど、カウンターには誰の姿もなかった。
それに加えて短い貴重な休み時間にわざわざここに足を運ぶ人もいないらしく、この部屋にいるのはあたし一人。
自分以外の人の気配がないっていうのは、本当に静かだ。
校舎のどこかから聞こえくる話し声も、とても遠くに感じられる。
木目の床が歩くたびにギシギシと不気味な音を立てるのを気にしながら、目的の本があると思われる一番奥の本棚に向かった。
そして数秒も経たないうちに目当ての本を見つけて、その場を引き返そうとしたら…。
――ガラ…ガラッ
図書室の扉が、躊躇うように開いた。
カウンター当番の人かな?
黄ばんだ分厚い本を両手に抱えて、本棚の陰から入口を覗く。