光を背負う、僕ら。―第2楽章―
…まさか。
ここまではっきり言う人だとは思わなかったな…。
身を隠しているという状況の割には頭は意外と冷静さを残していて、ぼんやりとそんなことを考え出す。
さきほど部屋から出ていった女の子は顔見知り程度で、あまりよく知らない。
けれど、告白されていた男の子のことはよく知っていた。
……真藤君――真藤達也。
小学校のときからの同級生。
……そして小学生のとき、伸一が名付けた“運命仲間”の一人。
女の子の方に比べたらよく知っている人だとは思うけれど、今の真藤君はなんだか知らない人みたいだ。
別人だと思えてしまうほどに……彼はここ数年で変わった気がする。
「…おい。いつまでそこに隠れてるつもりだ?」
「…え?」
しゃがみこんでいるあたしの頭上から声が降ってくると同時に、体が大きな影ですっぽりと覆われる。
突然の出来事に思わず、隠れていたことをすっかり忘れて反応していた。
そして見上げてことの意味を知り、血の気が一気に引いていくのを感じる。
あたしに覆いかぶさった影は……紛れもなく真藤君のものだった。
いつの間にか真藤君は、本棚に隠れるあたしの真横に腕組みをして立っていた。