光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「人の告白現場を隠れて見るなんて、麻木も変わった趣味してるんだな?」
「しっ、真藤君…!!」
驚いて力が抜けてしまい、しゃがみこんだ体勢から床に尻もちをついた。
そんなあたしを見下ろす真藤君は笑顔なのだけれど、それがただならぬ笑顔ではないから怖い。
さっき真藤君が冷たく言葉を言い放っているのを聞いてしまったから、余計に怖く感じるだけなのかもしれないけど。
そう思っていたら急に目の前に手が伸びてきて、思わず目をつぶって体を強張らせる。
「…なに怖がってんだよ。床になんか座ってないで、早く立てって」
「え…」
恐る恐る目を開けると、真藤君は片方の手をポケットに突っこんだまま、もう片方の手をぶっきらぼうに差し出してくれていた。
もしかして……あたしが尻もちついちゃったから?
「ほら、早く」
「あっ、うん…」
促されるままに差し出された手を取ると、ゆっくりだけど力強く腕を引かれて立ち上がらせてくれた。
おまけに、さっき驚いた拍子で落としてしまった本まで拾ってもらった。