光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「自分で作曲したものっていうことは……完全にオリジナル曲ですよね?」
小春ちゃんもまさかの試験方法に戸惑っているらしく、表情からはいつも満ち溢れている自信みたいなものが姿を引っ込ませていた。
だけど先生は事実を伝えるために、あたしのときと同じように頷く。
それを見るとやっぱりそうなんだと、嫌でも事実を知らされる気がした。
「オリジナル曲の指定時間などの細かい条件は、二人に渡したプリントにも書いてあるわ。
それ以外のことはまだ全く分からないから、私も今色々と調べているところ。
……正直に言うけど、過去の情報がないっていう面では、本当に受験するのは厳しいと思う」
――受験スルノハ厳シイ。
先生はただ、本当のことを言っただけなんだけど。
あたしが進むただでさえ障害が多い道に、また障害が増やされたような気がした。
誰かに体を押さえつけられているみたいに、自分の体が重くなる。
「……でも、二人に諦めて欲しいからこんなことを言ってるわけじゃないの。逆に、チャレンジしてみて欲しい。
あなた達の才能は、本当に素晴らしいものだと思ってる。
だからこそ、もっと上を目指して欲しいわ」
鈴木先生の言葉に、きっと嘘なんてない。
だってずっとあたし達のことを見てくれていて、大切に思っていることは知っているから。