光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「まぁ、簡単に言えばマリナちゃんとは逆みたいなものかな?真藤君って結構モテるのに、誰からの告白も絶対にオッケーしないんだって。
なんでも噂では、100人以上の告白をあっさり断ってるとか。しかもどんなに美人だったり可愛い子から告白されても、断ってるらしいよ」
「ひゃ、100人以上ね…」
「それにね。今まで女の子と付き合ってるの、誰も見たことないらしいよ」
「…誰とも付き合ったことがない?」
「…まぁ、隠れて付き合ってるっていうのもありえるけどね。誰かと付き合ってるから他の人の告白は受け入れないっていうのが、一番あると思うし」
「………」
――『好きじゃないから、フッた。告白を断る理由なんて、それぐらいだろ?』
――『…俺、好きなやついるから断った』
胸の内に引っかかったままだった真藤君のあの言葉が、何かを意味するように急激によみがえってくる。
真藤君の噂の原因って……真藤君には好きな人がいるからだよね?
明日美と流歌はそのことを知らないみたいだけど、きっとそうだ。
「…っていうかさ、あたしにはどうして真藤君がモテるのか分かんないなー」
「えー、真藤君は結構イケメンだと思うよ?」
「えっ、流歌ってあんな辛気くさいタイプが好みだったっけ!?」
「別に好みじゃないよ。それに真藤君は辛気くさいんじゃなくて、ただクールなだけだよ」
黙りこむあたしの前で、いつしか二人の会話が弾んでいる。
またあたしだけ、会話に置いてきぼり…。